東京フィルメックス邦画部門ハイライト-新年スタート!これから公開される東京フィルメックス厳選の注目3作品をチェック

  • 2012年01月03日更新

新年がついにスタート。2012年のスタートは昨年の東京フィルメックスで公開された注目の邦画作品の舞台挨拶とQ&Aの模様をハイライトでご紹介。公開が待たれる『東京プレイボーイクラブ』『KOTOKO』『RIVER』の制作現場を中心にスタッフキャストの生の声を公開前にチェックしよう。






『東京プレイボーイクラブ』
日本 / 2011 / 96分
監督:奥田庸介
プロデューサー:甲斐真樹
キャスト:大森南朋、光石研、臼田あさ美、淵上泰史、赤堀雅秋、三浦貴大、浜崎茜、安藤聖、佐藤佐吉
主題歌: エレファントカシマシ
『東京プレイボーイクラブ』公式サイト
※ 2012年2月4日(土) 渋谷・ユーロスペース、シネマ―ト新宿ほか全国公開

ストーリー
勝利(大森南朋)は、職場での喧嘩が原因で町を離れ、東京にいる昔の仲間・成吉(光石研)が経営するさびれたピンクサロン「東京プレイボーイクラブ」に身を寄せる。このサロンで働くボーイ貴弘(淵上泰史)は金銭トラブル起こし、その解決のために貴弘の彼女・エリ子(臼田あさ美)はホステスとして働かされることになる。居候である勝利は近所のチンピラと喧嘩し、再び相手を傷つけてしまう。一方、エリ子は派遣先のホテルで客に異変が起きる。この事件から勝利、成吉、エリ子の3人を巻き込むノンストップの一夜が動きだす。


先が見えない苦しい時に巡ってきたチャンス。身を削って撮ったので、皆さんに観ていただけてうれしいです(奥田監督)
-観客の皆さんにご挨拶をどうぞ
奥田庸介監督(以下奥田):監督の奥田庸介です。自主映画で何年もやってきて、先が見えない苦しい時に巡ってきたチャンス。「これ逃したら俺の一生終わる」って気持ちで身を削って撮ったので、皆さんに観ていただけてうれしいです。

臼田あさ美さん:エリ子という役を演じられてうれしく思います。大森さんと光石さんと共演させていただくという事で不安ばかりだったのですが、実際撮影に入ってみたら、緊迫感のあるシーンがたくさんあるにも関わらず、本番直前まで笑いの絶えない現場でした。渕上さんとは同世代ということもあってお互い励まし合って、なんどもセリフを読み合わせたりしたのも良かったですし、監督は熱がある方でその熱に背中を押されながらがんばれました。

-撮影期間と撮影時のエピソードを教えてください。
奥田:撮影期間は二週間くらいで撮りました。実際の繁華街に繰り出して撮影したんですけれど、俺は絡まれまくって(会場笑)俺のせいでラインプロデューサーの方が首絞められていました。それから飲み屋からガッと出てきて「俺を出してくれよ。俺、ここで寝ているだけでいいからさ」っていわれたこともありました。

大森南朋(以下大森):短い期間でしたが、テンションあげっぱなしで、集中力が生まれて現場は楽しかったです。光石さんは僕の中でツボなんです。笑わないようにするのが大変でした。

-演じていて大変だったシーンとご自身で好きなシーンを教えてください。
渕上泰史:監督が絡まれた時のシーンと光石さんに追いかけられるシーンですね。本当に靴を後頭部に当てられたんですよね。たんこぶが出来ました。

-最後に監督からの一言
奥田:俺はまだ25だから、
大森:上から言うな。(会場笑)
奥田:俺は25だから、まだまだ伸び代だらけだから、マジで精進をして、もっともっといい作品を皆さんにお見せできるようにがんばります。よろしくお願いいたします。




『KOTOKO』
日本 / 2011 / 91分
監督:塚本晋也
キャスト:Cocco、塚本晋也
第68回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門オリゾンティ賞作品
『KOTOKO』公式サイト
※ 4月7日(土) よりテアトル新宿、シネ・リーブル梅田、名古屋シネマスコーレ他 全国公開

 

ストーリー
幼い息子・大二郎をひとりで育てている琴子は、その過剰な愛のゆえに、大二郎を誰かにさらわれるのではないか、あるいは事故で失うのではないか、という脅迫観念につきまとわれ、幻視に悩まされている。琴子が平穏な心を取り戻すことができるのは歌を歌っている時だけだ。ある日、琴子は見知らぬ男から声をかけられる。男は琴子の歌と、歌っている姿に魅了されていた。やがて二人は同居を始めるが……。

映画では、実際お芝居をするというのは、残りの1%位。その貴重な1%の時間はとても自由でした。(Coccoさん)
-観客の皆さんにご挨拶をどうぞ

塚本監督(以下塚本):どうもありがとうございます。今日が日本の第一回目の皆さまに観ていただく上映会です。Coccoさんと映画を作るのが長年の夢でそれが出来たことがうれしかったです。今年のヴェネチア映画祭で僕にとって大事なオリゾンティ部門でグランプリを頂きました。グランプリは作品に対して頂いた賞ですが、Coccoさんへの主演女優賞だと思っています。

-これまでCoccoさんはミュージシャンとして活動されていましたが、ステージ上で歌う事とカメラの前で演技をすることの共通点と違いと言ったものはありますか?
Cocco:コンサートは生だから一から十まで全部生。(一方)映画は記録。生と記録の違いはとても大きいです。ライブの時は、例えば100あったら99の力は歌う事だけに集中できて、(力を)そそぐことが出来ますが、映画では、作ったり、段取ったり、準備をしたり、円滑にいくように(するために)99%の力を使って、実際お芝居をするというのは、残りの1%位。その貴重な1%の時間はとても自由でした。ライブも、映画も一生懸命作ってもやっぱり見届けてもらって作品として成立すると思うから(観客の皆さん)今日は来てくれてありがとうございます。

-Coccoさんを共演者としてどう思われましたか?
塚本:いくつかの種類の俳優さんがいらっしゃると思うのですが、素晴らしい俳優さんの中にそこの現場ではすごいことをしているように見えないのに、つまり自然にそこにいるという事なのですが、編集している時に「ウワッすごっ」と思う事があるんです。Coccoさんのお芝居はどっちかというとそっちの感じです。とても自然なのですが、見ているとものすごい集中力があって感激しました。その集中力はCoccoさんの歌に通ずるものがあるのかなと思います。




『RIVER』
日本 / 2011/ 89分
監督:廣木隆一
キャスト:蓮佛美沙子、中村麻美、根岸季衣、尾高杏奈、菜葉菜、柄本時生、Quinka,with a Yawn、田口トモロヲ、小林ユウキチ、小林優斗
『RIVER』公式サイト

※3月10日(土)よりユーロスペース他全国公開



ストーリー

恋人を秋葉原の殺傷事件で失ったひかり(蓮佛美沙子)は、事件から数年経ってもなお気持ちの整理がつかず秋葉原を彷徨っていた。そして偶然この街の地下で暮らしているという青年・佑二(小林ユウキチ)と出会う。佑二は両親と喧嘩して実家を出てきたが、3.11東日本大震災で被災した故郷の姿をテレビで見て……。
3.11以降の秋葉原と東北、ふたつの象徴的な土地に立つ若者の姿をドキュメンタリータッチで映し出す。

 

長回しがすごく多くて、15分くらい回しっぱなしというのは初めての経験でした。(女優:蓮佛美沙子さん)

-秋葉原でコスプレしながら掃除をして秋葉原から社会を変えていきたいと思っている者です。秋葉原は今のリアルに対抗できるのか、それとも無力なのでしょうか?
廣木隆一監督:ぼくは3月31日に東日本へ行って撮影したんですけれど、テレビなどからもらう情報と全然違いましてぼく自身が無力だなと思ったんですね。秋葉原が今、無力かというとちょっとわかりません。それよりも、街というものは人が集まってできる場所で、そこから何が生まれるのかに興味があります。それと、一瞬にして何もかもなくなってしまうという現実の対比は描こうと思いました。

—この作品で新しい挑戦や発見がありましたか?
蓮佛美沙子さん:今回は実際にあった事件に基づいて作られた話というのも、私の中で大きかったです。役に対する向き合い方は今までと変わらなかったのですが、3.11があってからの作品なので、ご覧になる方にはどういうふうに見てもらえるんだろうと、撮影中、すごく考えました。そういう意識を持ったはじめての作品です。
廣木監督は長回しがすごく多くて、15分くらい回しっぱなしというのは初めての経験でした。カメラテストを何回かやっていくうちに余計なものがそぎ落とされていきました。監督は私がフラットな状態でいないと、すぐ見抜いて「そんなんじゃダメだ」と指摘する。学校の先生のようで、常に緊張感をもって撮影に臨めました(笑)。



文:白玉(『東京プレイボーイクラブ』『KOTOKO』)、木俣冬(『RIVER』)
撮影:hal(『東京プレイボーイクラブ』)、細見里香(『KOTOKO』)

  • 2012年01月03日更新

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